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50代で子供が成人している夫婦の熟年離婚。財産分与はどうなる?

50代で子供が成人している夫婦の熟年離婚。財産分与はどうなる?

子供が成人したタイミングで離婚を考え始める方も多くいらっしゃいます。
その多くは50代前後かと思いますが、50代の離婚には何か注意点はあるのでしょうか。
お子様が大学生で貯蓄が少ない方、お子様が社会人となり経済的負担が少なくなった方など、様々いらっしゃいますのでそのあたりの財産分与の注意点を弁護士が解説いたします。

50代の財産分与

50代で子供が成人しているといっても、他の年代における財産分与と対象財産が異なるということはありません。財産分与対象財産の例としては、自宅等の不動産、預貯金、保険(解約返戻金)、株式、自動車等を挙げることができます。

50代で子供が成人しているということで財産分与に影響があるとすれば、子供の学費のことがあるでしょう。子供が成人しているといっても大学生である場合と子供が成人して既に社会人である場合とでは夫婦が置かれている状況も、夫婦で形成している財産も異なると思われます。

子供が大学生である場合

子供が成人しているといっても、大学生である場合、まだまだ学費がかかります。場合によっては、夫婦いずれかが教育ローンを組んでいることもあるかと思います。つまり、子供にまだまだお金がかかるため、財産分与の財産が十分に形成されていなかったり、預貯金等が非常に少ない時期の可能性もあるでしょう。

そういう状況で離婚を考える場合、夫や妻の立場によって、よく状況を考える必要があると思われます。ここで、イメージをしやすくするために、例を挙げた方が良いと思われますので、一つの夫婦例を挙げて説明をすることにいたします。

夫婦例①

  夫52歳(会社員)

  妻50歳(専業主婦)

  子供20歳(大学2年生)(離婚後、子供は、母親と一緒に暮らす)

上記の例を基に、夫の立場で考えてみると、離婚をして、それほど多くない財産を妻と分け合った後、子供の養育費(同居中に子供が大学生となっているので、大学費用についても、養育費で一部負担するということになると考えられます。)を支払うということになります。

他方で、妻の立場で考えてみると、離婚をして、それほど多くない財産を夫と分け合った後、子供の養育費を受け取るものの、不足している学費等については、場合によっては、分与された財産から捻出しなければならないかもしれません。

夫、妻及び子供が一緒に暮らしている方が、離婚して2つの家庭になるよりも、生活にかかる費用が安くなるというのが一般的かと思います。そのことを前提とすると、夫にとっても、妻にとっても、子供にまだまだ学費等のお金がかかる時期に離婚をするというのは、経済的に負担が大きいともいえます。経済的負担に加えて、さらに、離婚するまでの精神的な負担を考慮するとなおさらかもしれません。

子供が社会人である場合

子供が成人しており、社会人である場合、学費といった子供にかかるお金は必要がありません。また、子供が社会人になった後は、ある程度、経済的にも余裕ができて財産分与の財産を形成しやすい時期ということができるかもしれません。ただ、家庭によりけりなので、一概にはいえません。

ここでも、イメージをしやすくするために、一つの夫婦例を挙げて説明をすることにいたします。

夫婦例②

  夫55歳(会社員)

  妻55歳(専業主婦)

  子供25歳(社会人)(一人暮らし)

上記の例だと、財産分与については、夫の立場も妻の立場も、ほぼ変わりません。形成した財産をどのように分けるかを夫婦間で決めるということになります。夫の立場からしても、妻の立場からしても、子供の学費はかかりませんので、養育費のやり取りや財産分与から学費を捻出する必要もありません。

そうすると、子供が社会人になった後に離婚をするというのは、夫婦それぞれにとって経済的な負担はあまり大きくないということになるかもしれません。ただし、専業主婦である妻については、今後、どのように生活を設計していくか(現実問題としては、働いて給与を得るということになるでしょう。)ということを十分に考える必要があります。財産分与で一定額を受け取るとしても、それだけで老後の生活まで賄えるかは分かりません。

さいごに

子供が社会人になるまで離婚はしないでおいた、その時期までは我慢したといった話は、今でも聞きます。実際、経済的な側面のみを考えると、子供が社会人になるまで離婚をせず、子供が社会人になった後に離婚をするというのは正しいのかもしれません。

しかしながら、合わない夫婦が同居し続けることや夫婦でい続けることは、非常にストレスが溜まります。また、離婚をすることによって、次の人生が開けるということもあるかと思います。

そういったことを考えると、離婚を経済的な側面からのみ捉えるのも適切なものではないようにも思っています。経済的な側面、精神的な側面も踏まえて離婚を考えるのが良いでしょう。

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