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日本国外に居住し、所在が判明する相手方に対し送付する方法は、主に5つあります。
どの方法を用いるかについては、相手方が居住している国が送達に関し定めた条約への加盟の有無、相手方居住国と日本との間で締結されている条約等によって選択されます。
他方で、相手方が国外のどこにいるかわからない場合には、「公示送達」が用いられます。
また、外国送達を行う場合、送達方法や相手方当事者の日本語を理解することができるか否かによって、当事者が提出した裁判書類の訳文を提出する必要もあります。
①領事送達
外務省を通じて、相手方居住国に駐在する日本国の大使館・領事館に嘱託して送達する方式です。
相手方が日本語を理解できる場合には、訳文の提出は不要とされており、日本語で作成した裁判書類のみで送達することができます。なお、領事送達の場合でも、相手方が日本語の理解力が十分でないことが想定される場合には、あらかじめ訳文を提出することが必要です。
他の送達方法よりは、比較的早く送達されると言われていますが、送達には数か月かかることを見込む必要があるとされています。
ただし、領事送達は、任意の送達方法であるため、相手方が受領を拒んだ場合には送達の効力が発生しません。その場合には、あらためて②以下の方法による送達を行わなければなりません。
②中央当局送達
相手方居住国の中央当局を介して、相手方居住国が指定する当局が送達する方式です。
相手方居住国が送達条約(民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約)の締約国である場合にこの方式を取ることができます。
相手方の日本語の理解力にかかわらず、訳文の提出が必要とされています。
③指定当局送達
外務省を通じ、相手方居住国に駐在する日本国の領事官等を介して、相手方居住国が指定する当局が送達する方式です。
相手方居住国が民事条約(民事訴訟手続に関する条約)の締約国である場合にこの方式を取ることができます。
同様に、相手方の日本語の理解力にかかわらず、訳文の提出が必要とされています。
④民訴条約に基づく外交上の経路による送達
外務省から相手方居住国に駐在する日本国の大使を介して、相手方居住国の外務省から相手方居住国が指定する当局が送達する方式です。
同様に、相手方の日本語の理解力にかかわらず、訳文の提出が必要とされています。
⑤管轄裁判所送達
外務省、相手方居住国に駐在する日本国の大使館、相手方居住国の外務省を介して、相手方居住国の裁判所が送達する方式です。
相手方の日本語の理解力にかかわらず、相手方居住国における公用語による訳文の提出が必要とされています。
例外:公示送達
日本の裁判所にて掲示を始めた日から6週間の経過をもって、送達の効力が生じます。
送達の効力が発生するまでの期間は、日本国内に居住する相手方に対し行う公示送達の場合(2週間)よりも長いため、この方法を用いる場合には、弁護士会照会を用いて、出入国履歴や外国人登録原票を調査し、あらかじめ相手方が日本国内に居ないことを明らかにする必要があります。
一般的に、相手方当事者が国外に居住する場合には、送達手続だけでも数か月以上がかかります。
また、実際に送達が完了するまでの期間は、送達方法や送達をする際の世界情勢によっても変わり得るとされています。
日本国内に相手方が居住している場合と比べると、手続方法や進め方は大きく異なるため、外国にいる相手方との裁判所を介した手続をお考えでしたら、一度ご相談いただければと思います。
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