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アメリカのディスカバリー制度とは?

アメリカのディスカバリー制度とは?

米国の民事訴訟に関連して、「ディスカバリー」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。「ディスカバリー」とは、当事者間で、裁判が始まる前、厳密には正式な事実審理(Trial)の開始前に、当事者の要請の基づき自主的に事件に関する情報や証拠を開示し合う制度をいいます。このような、事前の、かつ全面的な証拠開示を予定した制度は日本にはなく、米国の民事訴訟制度の大きな特徴と言えます。米国で民事訴訟をする場合、ディスカバリーに関する知識は不可欠ですので、ここではその概要をご紹介いたします。

ディスカバリーの機能

⑴ 証拠を保全し、重要な証拠や情報の破棄、隠匿を防ぐことにより公正な裁判を実現します。

⑵ 正式な事実審理で証言が得られない可能性のある者からの供述を事前に入手することができます。

⑶ 正式な事実審理の前段階で事件に関する事実関係を把握することによって争点の絞り込みを促し、訴訟中の不意打ち行為を防止し、円滑な訴訟運営を可能にします。

⑷ 正式な事実審理における立証や反証を実質的、具体的に準備する機能を果たします。

⑸ 事実関係に関し、事前に十分な情報収集・開示が行われることで審理の結果を予測させることになり、和解等の裁判とは別の紛争解決を促します。

ディスカバリーの進め方

まず、当事者間で「ディスカバリー会議」を開くことが必須となっています。「ディスカバリー会議」では、開示の対象、方法、時期等について当事者間で協議し、その結果を14日以内に「ディスカバリー計画報告書」にまとめ、裁判所に提出します。

ディスカバリーは、原則としてこの報告書に沿って進められますが、この報告書により、当事者間で取り決めたディスカバリーの内容、スケジュール等が裁判所とも共有されることで正式な事実審理の進行が円滑になるというメリットがあります。

ディスカバリーの種類

⑴宣誓供述書(Deposition)

事件の事実関係に関し、証人予定者や関係者に対し直接質問し、回答を得ることにより、その供述記録を書面又は映像で残します。

⑵質問書(Interrogatories)

訴訟の当事者のみに対して送られる質問書で、期限内に宣誓の証明を付けた書面で回答を入手します。⑴の補完的役割を果たしますが、質問数は原則25問以下とされています。

⑶文書及び物件提出要求(Request for Production of Documents and Things)

事件の事実関係に関する文書その他物的資料を広範に入手可能にします。提出対象物について、数量上の制約はありませんが、提出を請求する者は入手する日時、場所、対象物を明記しなければなりません。請求を受けた者は、正当な理由がない限り、30日以内に対応しなければならず、隠匿等の不正行為に対しては、厳しい制裁が予定されています。

⑷身体上又は精神上の検査(Physical and Mental Examination)

訴訟の重要な争点と関連して、当事者や関係者の身体又は精神の状態が問題となるときは、裁判所による事前の許可を得て、その者の医学上の診断や検査を、当事者が指定する医師のもとで行うよう求めることができます。ただし、プライバシー保護の観点から、検査レポートの交換・共有については厳しく規制されています。

⑸自白(又は承認)要求(Requests for Admission)

ディスカバリー手続の中で提出された相手方の証言、文書、その他の情報について、相手方が自白又は承認することにより、それが真正であることを証明させる手続をいいます。この自白又は承認により、正式事実審理において証明を省くことができるようになります。

ディスカバリーの対象外となるもの

⑴弁護人・依頼人間秘匿特権(Privileges)

我が国でいう守秘義務的な考え方の下、文書であれ、口頭での会話であれ、弁護士と依頼人間の全てのやり取りがディスカバリーの対象外になります。ただし、ディスカバリーにおける秘匿特権の主張と行使は、弁護士ではなく、依頼人に委ねられています。

⑵ワーク・プロダクト(職務活動の所産)

秘匿特権対象外のものも含め、訴訟を予期して弁護士自身が訴訟の準備のために作成した文書や有形物はディスカバリーの対象外になります。

⑶保護命令(Protective Order)

相手方からの開示要求が不当である場合、当該要求を阻止するための「保護命令」を裁判所に申し立てることができます。申立人は、保護命令が発令されなかった場合に生じる具体的な弊害の存在を「正当理由」として立証する必要があります。

ディスカバリーの問題点

ディスカバリーには、証拠の保全・事前開示による審理の充実、不意打ち防止等の多くのメリットがありますが、他方で濫用的開示請求や証拠の破棄・隠滅の危険、開示コストの負担の重さといった問題点もあります。また、近年では、証拠のデータ化が進み、いわゆる「Eディスカバリー」の在り方も問題になっています。

これらについては、連邦民事訴訟規則の改正等に加え、裁判所による的確な監督と事件管理による弊害の防止が期待されるところです。

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