―「離婚」と「お金」。なかなか他人には相談しづらい二つのテーマに対して、プロのサポートを提供してく
れる弁護士とファイナンシャルプランナー。まずは離婚相談の際の経済的な注意点について教えて下さい。
中里
離婚というと、夫婦間の問題、親権をめぐる問題という“感情面での対立”に気持ちが向いてしまう方が多いのですが、実は離婚において、最も大事なのはお金の問題なんです。女性の方は特に、離婚後に生活できるかどうかについて心配や不安を多く持たれます。
この不安から、感情的な対立は激しくなり、お互いの罵り合いになってしまうことも間々あります。本当は、冷静に「仮に離婚したとしたら、自分にはいくらの財産があって、どういう生活をすれば離婚後の生活が安泰か」と考えて進めるべきですし、それが“賢い離婚”なんですね。
新屋
離婚を考えるにあたり、お金の問題は避けて通れません。お金の問題が原因になって、感情がこじれ、不安が大きくなり、対立が深くなります。
経済的な不安のために、離婚への具体的な一歩を踏み出すことができないという相談もあります。お金の部分の不安が解消することは、安心材料でもあり、選択肢に自由度が広がる非常に重要なポイントなんですね。
「選択肢(チョイス)の自由度が広がることがその後の安心材料につながります」
だからこそ離婚を考えるとき、離婚後の生活設計、経済的な面でアドバイスをしてくれるプロの方の意見を聞くことはいいことだと思います。離婚の際には、相手から財産分与などまとまったお金を受け取ることが多いのですが、そのお金を、離婚後の生活のためにどう運用するのかと、プロの方にサポートしてもらうと安心感が増すと思います。現在は離婚後の生活を心配する方は多いですが、「だからお金について、計画を立てよう」という意識までには至っていない人が多いですね。
離婚後の生活を具体的にイメージするために自分の持っている選択肢を確認
―離婚の相談に来た時に、お金についてのアドバイスもされるのでしょうか。
中里
離婚でお金に関する事柄は、お子さんの養育費を別にすれば、財産分与、慰謝料、年金分割などです。このうち、年金分割は法律上の制度なのでまったく心配がありません。また、慰謝料については、日本における相場は1~200万円です。一方、財産分与を考えますと、結婚後に形成した夫婦の財産を、二分の一ずつに分けるということですから、都内で不動産を1件持っている場合、それだけで数千万円の価値があります。つまり、慰謝料と財産分与では、金額が1桁、場合によっては2桁違うこともありますから、慰謝料を声高に叫ぶよりは、「あなたが持っている資産の半分をくださいね 」という冷静な話をしたほうが効率的なのです。特に、熟年離婚の場合は、この財産分与をどう考えるかということが大事になります。 何が自分名義の資産で、何が相手名義の資産かを把握しておくことは重要なのです。
新屋
日本では資産として住宅の存在が大きいと思います。住宅はローンの有無や誰の名義になっているのか。どういう分け方ができるのかなど、なかなか一般の方はわかりづらいと思います。そのあたりをクリアにして、自分の手元に具体的にいくら残るのか、自分にはどのような交渉のチョイス(選択肢)が残されているのかをイメージできるだけで、かなり具体的に離婚後の生活がイメージできると思います。
ファイナンシャルプランナーとしては、財産分与で手元にきたお金を取り崩していくだけではなくて、増やしながら使っていくことも提案しています。
普段から、キャッシュフロー表(図)を用意して、時間軸とその時のお金の出入り、収入と支出を当てはめていきます。離婚後の生活費や学費などの支出、養育費やお仕事での収入を考えていきます。お子さんをお持ちの方は、「親が離婚したことで、子供に経済的な負担をかけてしまうのではないか」と心配される方が多いと思います。だからこそ、お子さんにかかるお金をどのくらい見込むのかを、こうしたキャッシュフロー表を使って具体的に試算することで、離婚後の生活が可視化できます。離婚のご相談者の方にとって安心できる材料だと思います。
中里
キャッシュフロー表で可視化することはすごくいいですね。例えば、離婚後の養育費については、双方の年収をもとに、「算定表」を用いて算出できるようになっています。養育費と自分の収入とで離婚後の生活をイメージしてもらっていました。現状では女性側で積極的に資産運用を考えている人は多くはないのですが、せっかくまとまったお金が入るわけですから、運用するという考え方もありますね。
新屋
漫然と取り崩していくだけではなく、財産分与で手に入ったお金や、その方の資産を運用しながら受け取っていくという考え方ですね。日本ではまだまだ男性の方の年収が高いので、資産運用は男性の方が多い傾向がありますね。
財産分与などでまとまったお金を手にするタイミングは 資産運用のチャンスでもある
中里
首都圏の場合ですと、住宅と金融資産などで、2-3千万を財産分与の際に一括でもらうケースもあります。
これまでは、そのお金を子供のため、自分の老後のために取り崩して使っていた方が多いと思います。これを機にもっと増やそうと考える女性は少ないですね。考えてみれば、もったいないですね。資産運用という選択肢が増えると、気持ちも明るくなりますよね。
新屋
一般的にまとまったお金が入るタイミングは退職金かと思いますが、ある意味、離婚も想定外のまとまったお金が手元に入る機会ですよね。離婚後の生活を考えたときに、自分に何があるか、現在の資産と、仕事をした際の収入に加え、資産を有効活用できれば、選択肢が増えることにもなります。
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